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2022/12/15 23:08



こんにちは。かわばた園の佐藤です。


僕は2018年に会社員を辞め、家業の農家を継ぎました。


この記事では、僕が有機栽培を続けている理由、かわばた園の有機栽培の始まりや歴史を紹介します。



有機栽培を続ける3つの理由


続いてきた伝統を守る
工夫が多くて楽しい
化学的に合成された農薬や肥料は必要ない



続いてきた伝統を守る


僕が有機農業を続けているのは、それが自分の家で脈々と受け継がれてきたからに他なりません。


僕の家は代々農家をやっており、現在はお茶が主力ですが、お茶の栽培が始まったのは明治の終わり頃まで遡ります。


当時は茶、生糸、ミカンの生産をしており、今は使っていませんが、蚕室とミカンの貯蔵庫が建っており、どうやら茶と生糸は地元の清水港から輸出をしていたようです。


お茶の栽培は1890年代から現在まで続いており、その歴史は約130年を超えます。


その歴史の中で、1972年からは化学的に合成された農薬や化学肥料を使わずに栽培をしており、2022年現在で50年続いています。




有機栽培の始まりは1972年


僕の祖父が農薬や化学肥料に頼らない栽培を始めた1970年代は、高度経済成長期の真っ只中で、60年代後半からイタイイタイ病水俣病など、公害問題が大きな社会問題となっていた時代です。


そうした公害問題や、身内で農薬が原因と思われる病気で体調を崩してしまったことが原因で、祖父は化学的に合成されたものに頼らない農業を始めました。


今でこそ、オーガニックでの栽培は認知度が高まり、政府としても、農地面積の25%をオーガニックにすると言っていますが、当時の農家は農薬や化学肥料を使わずに栽培をするなど思いもしなかったと思います。


父親から伝えきいた話では、周囲の風当たりは相当に強く「お前の畑から虫や病気が飛んでくる」といったことも言われていたらしいです。


そのためか、畑も隅へ隅へと追いやられていきました。


現在もその名残で、管理している畑の周りは隣が茶畑のところはなく、周りが森に囲まれた茶畑ばかりが残っています。




父親が作った半世紀の歴史


1972年からオーガニックでの栽培が始まりましたが、その歴史のほとんどは父親が栽培を管理してきました。


昭和31年生まれの父親は、高校卒業と共に就農しました。


オーガニックでの栽培開始当初は16歳で、就農が18歳。


祖父は当初からかなりの部分を父親に任せていたらしく、父親の苦労も並大抵のものではなかったことは想像に難くありません。


病気や害虫が発生し、まともに収穫量も上がらない畑。


そんな中でも外からの圧力に負けず、消費者の求めるものを作り続けていたのだと思います。


また、僕は1990年生まれですが、祖父は89年に癌が原因で他界しています。


祖父が亡くなった時の父親は33歳。


この記事を執筆しているタイミングの僕は32歳です。


今のタイミングで父親がいなくなると困ることが多いのは間違いありません。




父親の有機栽培に対しての姿勢


現在も取引が続いている消費者団体の方々が編纂した冊子には、当時の父親の農業に対する想いが書いてあるものがあります。


その中には「消費者に対して正直であること」ということが書いてありました。


例えの話ですが、有機JASのマークが付いた農産物があった時に、そのものの残留農薬がゼロかと聞かれれば、ゼロでない可能性があります。


どういうことかというと、有機栽培を名乗るために必要な有機JAS認証取得には残留農薬検査がありません。


有機JAS認証取得には使った肥料などの資材を畑ごとに記録した書類が必要になります。


ここで、仮に有機栽培と謳う農家の畑で病気が多発してしまい、農薬を使ったとします。


でも農薬を現金で買って領収書を捨ててしまい、さらに記録をしなければ書類上は農薬を使ったことになっておらず、有機JAS認証も取れてしまいます。

※例えばの話です。こんな不誠実なことをしている人は今の所聞いたことがありません。


しかし、こういったことが現実的には可能です。


表に出ることではないから影でこっそりズルをしてしまう。


父親はそういったことを一切したくなかったのだと思います。



これまで続けてきた事が正しい事であったことを証明する


こうした家に生まれ、その家業にやりがいや面白さを感じ、同じ道に入った僕がやることは、これまで続けてきた事が正しいものであったということを証明することだと思っています。


僕が思う正しさの証明は

・1つの経営体としてしっかり利益を出すこと
・後継者にバトンを繋ぐこと


この2つだと考えています。


これまで祖父や父が正しいと思って進んできた道を利益を出すという形で、しっかりと社会に還元していきたい。


つまり、利益を出して税金を納める事業者であり続ける事が大切だと考えています。


もう1つは自分の後継者にバトンを繋ぐことです。


バトンを繋ぐためには、やりがいという面では申し分ないと思っていますが、経済的な面でも「やってみたい!」と思うことができるような状態であることは必須条件です。


ただ、時代も変化する中で、仕事をどうやって楽にしていくかも追求しなければならないなと考えています。


10年後の農園は今とは仕事のやり方が大きく変わっていると思います。


そもそも作目が増えたり減ったりしています。


現状は茶、梅、筍ですが、5年後には茶、筍、いちじくになっています。


大変なことはありつつも、仕事を楽にやって、しっかり稼げるようになる。


そうした農園の形を自分の代で作っていきたいと思います。


祖父や父親が繋いできた伝統を守り続けていくことが、僕が有機農業を続ける理由のひとつです。


工夫が多くて楽しい
化学的に合成された農薬や肥料は必要ない


こちらの2つに関しては別の記事でまとめていますので、よろしければご覧ください。


最後までお読みいただきありがとうございました。


かわばた園

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