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2022/12/24 22:47



こんにちは。かわばた園の佐藤です。


僕は2018年に会社員を辞め、家業の農家を継ぎました。


この記事では、僕が有機栽培を続けている理由についてご紹介します。




有機栽培を続ける3つの理由



続いてきた伝統を守る
工夫が多くて楽しい
化学的に合成された農薬や肥料は必要ない



”続いてきた伝統を守る””化学的に合成された農薬や肥料は必要ない”に関しては別の記事にまとめています。


僕が有機栽培を続けるうえでモチベーションとなっていることの1つ、工夫が多くて楽しい。

今回の記事では有機栽培の面白さを化学的な説明を絡めながら紹介したいと思います。




病害虫に負けない健康な植物を育てる


有機栽培をする理由の出発点はここです。


そもそも健康な植物であれば病害虫に負けないと思っています。もちろん限界はあると思いますが。


ではどうやって作るか?


最も大切にしていることは、植物に光合成をしっかりさせることです。




植物は光合成をして何をしているのか?


光合成というのは、太陽の光を使って、


二酸化炭素(CO2)
(H2O)


から


デンプンやショ糖などの糖類
酸素(O2)

を生成する化学反応です。


植物は自分で作り出した養分と、根から吸い上げた窒素を使って、成長に必要なタンパク質やビタミンを生み出しています。


光合成:二酸化炭素+水 → 糖類、酸素
根からの吸収:糖類+窒素 → タンパク質、ビタミン

つまり、しっかり光合成させることができれば、植物はどんどん頑丈な体を作り、さらに栄養価まで高くなる=美味しい!ということです。


そう、植物は健康に育つと美味しいんです。




地上部分のC/N比を高める


堆肥などホームセンターで売っているものの中には”C/N比”というものが記載してあるものがあります。


これは、その袋に入っているものの炭素量と窒素量の比率のことなんですが、窒素分が多いと分母も増えるのでC/N比は高くなり、肥料としての効果も高くなるといった目安になる数字です。


植物性の原料が主体の堆肥はC/N比が20〜30ほどで肥料としての効果は少なく、牛糞などは10を少し超えるぐらいなので、肥料としての効果も高いものが多いイメージです。


そして、このC/N比、肥料だけでなく、植物自体の数字も大切だと考えています。




C/N比が低い、つまり、炭水化物量が少なく、窒素量が多い状態は細胞膜を作る栄養が足りず、細胞内ばかりが大きく肥大してしまい、左の細胞のように見るからに自分を守る力が弱そうです。


反対に、C/N比が高い右側の細胞はガッシリとした細胞膜を作って、高い防御力のある植物になっていきます。


こういう植物を狙って作ることで病害虫に負けない健康な植物を作ろうとしています。


光合成ではデンプンなどの炭水化物を植物の体の中で作り出しているという話をしました。


植物が頑張って光合成をして炭水化物を作り出しているのに、それ以上の窒素量を与えてしまうと、植物体としては不健康な状態になってしまう。


そういうことを防ぐために、しっかりと肥料の量は計算しています。




しっかり光合成をさせて、美味しい食物を作るためには?


ポイントは下記の3つです。

  • 堆肥を中心に土づくりをして根をしっかり張らせる
  • 植物に大切なミネラルを補給する
  • アミノ酸まで分解された有機肥料を使用する

この内容はこの本にほぼ書いてあります。参考までに。


この3つが高い次元でバランスが取れると、植物はしっかりと細胞を作り、ツヤツヤの葉っぱで光合成をゴリゴリしながら、栄養を自分の中に溜め込みます。



この3つが高い次元でバランスが取れると、植物はしっかりと細胞を作り、ツヤツヤの葉っぱで光合成をゴリゴリしながら、栄養を自分の中に溜め込みこうなるとガッチリした葉っぱの表層(クチクラ層)が作られ、病害虫も植物の中に入りづらくなり、前述のように糖度やビタミンの含有量も多くなります。




難しいから工夫しないといけない、だから面白い


有機栽培は2018年時点の数字で、日本の農地の0.5%しか行われていません。


なので、どう見ても農薬や化学肥料を使うのが普通です。

農薬を使って栽培する方法を慣行栽培と言います。


そうした慣行栽培を行う農家からは、「有機栽培は無理」ということを言われることもあります。


多くの農家から有機栽培は難しい、できないものだと思われています。


そこを工夫でクリアしていく。


品種選び、資材の選定、作業の時期、周辺環境整備など。


病害虫が発生する原因、増殖する環境、植物がやられてしまう状態を作らないように工夫を重ねます。


慣行栽培を行う農家はJAや地元の生産部会に標準的な栽培方法があります。


”この時期に、この農薬を、この希釈倍率でまく”

”このリストにある肥料を、この面積には、〇袋使う”


それはそれで誰がやってもそれなりにできる確立された栽培方法なので良さがあるのは間違い無いですが。


もちろん、そうした栽培の中で圧倒的な食べ物を作る人たちがいるのは承知しています。


でも、そうした人たちは他とは違う革新的な工夫が必ずあります。


私の周りにいる慣行栽培の農家さんに肥料の選び方や栽培の工夫を聞いてもあまりピンと来る答えが返ってきません。


お伺いした人は価格ぐらいしか見ていないようでした。


また、病気が出たら、出る前に農薬を使う。当然と言えば当然です。


でもそれって工夫が少なく聞いていてつまらないんです。


逆に有機栽培農家からはあらゆる工夫が出てきます。


何も工夫しない、では病害虫にやられ放題だからです。


病害虫の発生する原因を理解して、それに工夫で対応していく。


難しいですが、面白い仕事です。




農業は一生をかけて取り組むには最高の仕事


ここまで長々と有機栽培を続ける理由を書いてきました。


もちろん、これからも有機栽培は続けていきます。


大きく変化する自然環境の中で、自分が納得するものを作り続ける難しさは並大抵のものではありません。


だからこそ、クリエイティブな仕事だと思うし、一生をかけて取り組むのに値する仕事だと思っています。


何より、「美味しい」と言ってもらって感謝される喜びに勝るものはありません。


どんな社会が来ても、人間が食べなくなることはないと思います。


ずっと続けられる。


ただ環境の変化もあって、路地では毎年同じようにはできない。


気温も、降水量も、風量も、土壌環境も毎年違うんです。


でも美味しいものが作りたい。


こんなに難しいことがあるでしょうか?


だからこそ、どうやったら美味しくなるのかと頭を使います。


それが面白い。


僕は農業が一生をかけるに値する最高にクリエイティブな仕事だと確信しています。


最高に美味しいものを作ります。


どうぞお楽しみに。


かわばた園

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